概要

染色体上の遺伝子座を表現した地図を遺伝子地図という。 その地図の目印となるものを遺伝子(又はDNA)マーカーという。 遺伝子地図には以下の2種類がある。

連鎖地図

組換え率から得られた遺伝子マーカー間の距離に基づき作成したものである。 連鎖地図のマーカー間の距離はcM(センチモルガン)単位で表現し、1cMは1%の確率でマーカー間の組換えが生じる距離である。

物理地図

制限酵素切断個所や遺伝子マーカー間の距離をbp単位で表現したものである。

人種や民族などの特定集団や個人のゲノムの塩基配列の相違を遺伝的多型という。 遺伝子マーカーは多型を利用して特定集団・個人を検出するためのDNA部位である。 これには一塩基多型(SNP)や塩基の挿入欠失(indel)があり、indelは主に縦列型反復配列の相違である。 制限酵素断片長(restriction fragment length polymorphism, RFLP)は多型検出の代表的手法である。 RFLPでは特定の遺伝子領域をPCR増幅、制限酵素消化後に、電気泳動のバンドパターンを比較する。 RFLPは主にSNPに起因するものであるが縦列型反復配列多型も電気パターンに変化が生じ、指紋同様の機能を有することから、これらの検出手法をDNAフィンガープリント法と称する。 さらに参照ゲノム配列に対して異なる個人のゲノム配列を解読・比較(リシーケンス)することでも多型を検出することができる。